誰でも一度は手にしている十円玉です。私は紙幣とクレジットカード以外使わないという方が
いたら御飯奢ってください(笑)。決して馬鹿に出来ない貨幣なのです。
第一回ということで基本的なお話から入ります。↑この画像が十円玉の表(おもて)になりま
す。一体裏表はどうやって決まっているのでしょう。現在の貨幣はすべて年号が表示されてい る面が裏と定義されています。ちなみに明治時代は龍図が表とされてきました。なぜ龍が表な のかについてはまたの機会にご説明します。
この図柄は現在は世界遺産にもなった宇治平等院鳳凰堂です。建造物に詳しい方でしたら
ご存知かも知れませんが屋根の上に鳳凰が一対載っています。肉眼では判り辛いですが左右 の鳳凰の形が微妙に違います。さらに石段や扉の鋲まで忠実に彫られています。十円玉がこ こまで細かいデザインになった事には歴史的な背景があります。
現在の十円硬貨が製造される直前、本来発行される予定だった貨幣のデザインです。
洋銀もしくは洋白(ネクタイピン等に使用される事が多いです。)とも呼ばれる合金製で大変美
しかったそうです。しかし当時朝鮮戦争によりニッケル相場が急騰し製造コストが合わず不発 行となり殆ど溶かされてしまったのです。(現在この貨幣は10万円以上のプレミア価格になって います。)昔は戦争が起きる直前にドイツ等、世界中の造幣局でニッケル硬貨を製造していま す。ニッケルは軍需金属として大変重要かつ貴重なので貯える為にニッケル硬貨を流通させ ていたのではないかと言われています。
話を戻します。造幣局では仕方が無く青銅で作成する事にしたのですが、すでに昭和24年発
行されている5円黄銅貨(現在でも流通しています。)と紛らわしくなるとの理由からすでに図案 化されていた50円銀貨のデザインを引用する事になったのです。銀は柔らかい為、世界中の 銀貨も同じですが非常に細かいデザインにする事が可能なのです。そんな背景から現在の十 円硬貨が誕生したのです。
皆さんご存知のギザ付き10円玉、通称「ギザ十」。なぜ昔はあって今は廃止されたのでしょ
う。まずはなぜ貨幣にギザを付けたのかと言いますと昔は金貨や銀貨の外周を削ってしまう犯 罪者が沢山いたのです。外周なら少々削ってもバレないというせこい手口です。それを防ぐ為 にギザが誕生したそうです。現在の10円青銅貨のデザインが50円銀貨だったのでそのまま引 用されたそうです。通常最高額面の貨幣にギザを付けている例が多いですが、日本では穴と ギザを使い分け直接目視しなくても判別しやすいようになっています。
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